寺垣武さん宅訪問(寺垣プレーヤー)
http://www.interu.co.jp/UST/teragaki.html
http://www.nttcom.co.jp/comzine/archive/talk/talk10/index.html
寺垣武さんとは、現在83歳、アナログレコードの音を最大限引き出す究極のプレーヤーとスピーカーシステムの開発者です。(17年、5億円を費やして開発されたらしい...)
私はほとんど予備知識がないまま、この究極オーディオシステム拝聴ツアーに参加したのですが。。。
約8名の参加メンバーとともに寺垣さん宅を訪問します。駅から約5分程度、一見普通のマンションの4Fでした。
中にお邪魔したところ、寺垣さんご本人と歌手のミネハハさん(元々はスタジオ歌手で有名なコマーシャルソングを3000曲!歌っておられました。現在はソロでコンサート活動などを主にやってらっしゃるらしい)がおられました。
(以下、私の脳内記憶を元に再現します)
そしてまず、波動スピーカの原理をオルゴールと透明プラスチック板を使って説明されました。
「音というのは実は振動じゃないんですよ。オルゴールから伝わった音が板にストレスをかけることによって(といいつつオルゴールにあてたプラ板を曲げる...すると手品のように音が大きくなる!)、このように増幅されます。ただの振動であれば絶対にこのような現象は起こりません」
(この時点では波動と振動がどうちがうのか実はよくわからなかったが、とにかく手品のような現象をみたので素直に感動)
このあと、17年にわたるアナログオーディオプレーヤーの開発について写真つきで説明。最初は自費で開発していたが、オーディオテクニカ、キャノン、セイコーエプソンなどで結局5億円ぐらいかけて作り続けてきたとのこと。初号機から17?号機ぐらいまでの写真と(いくつかは)実物を見せてもらった。
波動スピーカは振動させないので音の立ち上がりが違うということで、ガラスの割れる音を再生。(リアルでした...)
そして通常のスピーカは振動で音を出すので何百Wも必要だが波動スピーカは数Wで十分である。(実際、アンプ音量は1-2メモリぐらいで再生させていた...)
で、ホテルカリフォルニアなどの曲を再生したり、持ってきたレコードを再生して聴いてみたりする...
これが究極スピーカ!
スピーカは2つのうち1つが裏側にしてあった。裏でも表でも同じように聞こえるとのこと(普通のスピーカでは考えられない...)
以下、概略。(発言してないところは大意を汲んで補足してます)
「30年ぐらい医者にかかったことない。戦争中はお腹がすいてすいてたまらなかったので、夜そおっと残飯をあさりにいった。衛生なんてものはなかった。しかし、そういうときには病気しないもんです」
「全天候型飛行機に菊水という操縦型の爆弾をつんで7時間かけて特攻をかけた。その操縦士は1年訓練して最高の飛行機に乗っていくわけです。しかし一人も敵の空母にたどり着けなかった。それはたった1個の水晶がおかしかったからなんです」
「頭で考えるのと、考え抜くというのとは違う。考え抜くというのは全身を使った体力勝負なんです。そうして出した結論というものは、そうそう間違えない」
「たとえばいろいろ迷う場合51:49ぐらいでこっちのほうがよいかなと結論を出す。そうするとやっていくうちに執着がでるから、自分の中では70:30ぐらいになっていく。やっぱりこちらを選んでよかったと。本当は49の不具合があるんです。それがあるとき一気に吹き出す。世の中が便利になるというのは、便利になった分なにかを捨ててるんです」
「人間というものは時代がつくるんです。例えば私のもう少し前に生まれた人間はロマンチストですよ。大正ロマン。私はどちらかといえば国家主義的な人間です。それはそういう時代だったからです」
「世の中いろんなことが間違っている。この前のプールの事故。鉄枠をボルトでとめていたのをハリガネでとめていた。当然錆びてぼろぼろになります。あんなものは上から落とす構造にすれば腐食しないんですよ。目的と手段を間違えてるんです。そっちのほうが便利だからといって、頭で考えただけですぐやってしまってはいけません」
という感じの話が延々と...寺垣さんの人生観が滲み出ていて面白かったです。
そして途中、ミネハハさんに話をふります。
「富士通の幹部教育研修を23年続けています。そこで富士通の人にミネハハさんをして教育研修で話をしてもらいました。歌手の人がやったのは初めてじゃないですか。(講師のリストを拝見すると、東大教授とか、なんたらの偉い人とか...)最初に歌を歌って。後で感想をまとめたのをもらうんですがミネハハさんのほうが(23年続けてきた)私よりもいい感想がいっぱい書いてあるんですよ」
ミネハハさんの話(すいません、ここまで書いてて結構時間かかったんで概略のみ記述)
・アフリカにいったときの話(人生で4回ぐらい死にかけた)
・自分は生かされている
・自分の存在意義
・自分は思ったらすぐ行動する。ほとんど考えない
・3つのc。chance、choice、charange。人生には必ずチャンスがある。そしてチョイス(選択)。次に行動するかどうか。
などなど
本当はもっとたくさんあるのですが、これぐらいで...
次の日、自宅の5.1chの音をいろいろ聞いてみて、昨日の寺垣スピーカの音とどう違うのか再度検証しました。
私もそんなにいい耳をもっていてオーディオにうるさいわけではなのですが、
・通常のスピーカは基本的に前面に対し音を出す構造であるが寺垣スピーカは横や上、後ろから聞いても同じように聞こえる。5.1chではスピーカの配置や各スピーカのバランスを調整することで臨場感を再現する。が、寺垣スピーカはどこから聞いてもよいため、2chスピーカで5.1chの臨場感を超える。
・通常のスピーカは振動で音を出すという特性上、スピーカ1個が特定の音域、音量のものに偏った特性をもたざるを得ないが、寺垣スピーカは振動では表現しにくい、鋭い音や幅広い音域をカバーできる。
ということで、一言でいうと音の再現性が尋常ではない、ということです。
特にライブなどの音源を聞くと、ほとんどその場にいるような感覚になります。
寺垣さんも、プレーヤーを「表面粗さ計」だと表現しておられましたが、プレーヤーもスピーカーも、いかに原音を忠実に再現させるか、という一点を理詰めで追求しています。
プレーヤーはレコード盤の溝に彫られた情報をいかにロスなく吸いだせるか(現在の最高のプレーヤーでも再現度70%なのだが寺垣プレーヤーでは90%)、スピーカはいかに音を忠実に出せるか。
寺垣さんとミネハハさんに最後、挨拶したところ、寺垣さんから「聞きに来たかったらいつでも電話していいから」とのお言葉を頂きました。
ちょっと遠いんですが、知り合いで希望者はどんどん連れていきたいと思います。音の世界なんで、実物を見て聞かないと分からないですから...
MEMO(19178)