グーグル・アマゾン化する社会

ひさびさに読み応えのある内容でした。以下、本の要約です。

土日に本は読んだのですが、さきほど1時間ほどかけて一気に文章にまとめて見ました。

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会

  • 第一章 多様化が引き起こす一極集中現象

グーグルが目指す世界=ウェブの情報を数学的に体系づけて整理しユーザに提供する。=情報のグローバライゼーション。最大多数に対する最大関連性。
多様化される世界と対照的に、人気サイトは固定化される傾向にある。
情報通信業界だけでなく、広い範囲での一極集中的な現象。情報化が広がる一方での一極集中。
(結論)
売れているものがメディアで取り上げられることによりさらに売れるスパイラル現象。
要因は情報流通の変化、インターネットの普及。巨大な一極とフラット化。

  • 第二章 Web2.0の世界 「ユーザ参加型」「膨大なデータベース」

Web2.0のサイトに共通するもの=ユーザ参加とタグ(検索用のキーワード)。
Web2.0とは、ユーザ参加型であり、ユーザが提供したデータに基づく膨大なデータベースによって構成されるサービス。
ネットの双方向性を実現したブログ。時系列でのURL生成とトラックバックの機能。
Web2.0オープンソース。大勢で開発するほうがよりよいものができる。終わりのないバージョンアップ。複雑系科学でいう自己組織化の機能。
Web2.0の3つの環境的要因
  ・通信の大容量化と常時接続化
  ・デジタル機器の性能向上と価格の低廉化
  ・コンピュータ技術者の激増
  --開発環境が整ってきたこと
Web2.0の3つの技術的な特徴=APIの公開、Ajaxマッシュアップ
無料公開されるデータ。(旧来の考え方ではデータはその企業の宝)
多くのユーザがいればいるほど使いやすいシステムをどうデザインするか?

アマゾンの成長に後見した2つの技術=リコメンデーションとアソシエイト・プログラム。
アマゾン独自の「商品間協調フィルタリングアルゴリズム
  1.ユーザが閲覧した複数の商品間のマッチングと類似性の数値化。
  2.購入対象の1つの商品と他の関連性がある商品全てについてデータベースを参照し関連性を計算。
  (この二段階の計算をAmazonは0.5秒以内で行っている。商品群とユーザ数が膨大なスケールのもと設計されている。)
カスタマー・レビューがプロの書評を駆逐した。
アマゾンのミッション=顧客中心主義。
  ワンクリックで決済の手間を省く
  本の紹介、販売をしてくれたお礼に手数料を渡す
  ユーザ同士が語り合う場を提供する

無くてはならないインフラのような存在。
基本的に無料であり、全てのサービスがウェブ内で完結。
グーグルの収入源は「アドワーズ」(検索時に表示される広告)と「アドセンス」(ブログなどに配信する広告)
グーグルは巨大な広告代理店。
グーグルは、数時間から数ヶ月分は世界中のウェブデータを丸ごと保有している。
グーグルはデータベースを設計したのではなく、世界中のウェブデータそのものをデータベースにしてしまった。
グーグルに見つけられないものはウェブの世界にはないものとされる。
Gメール、パーソナライズド・サーチ。=検索結果の最適化。

  • 第五章 スケールフリー・ネットワーク 金持ちほどますます金持ちになる理由

複雑系とネットワーク理論という科学的な観点からのアプローチ。
飛行機の路線、神経細胞のネットワーク等は、全てが均等に繋がっているわけではない。局所的に集中する部位とそうではない部位とにわかれる。
大多数の結節点をもつハブとそれに伴うスポーク。その現象がスケールフリー・ネットワーク。
反対が、ランダム・ネットワーク。平均的に接続されたネットワーク。
ウェブの構造は、一極集中型の構造をクラスタでもつネットワーク。新しいノードは多くのリンクをもつ結節点に優先的に接続される。
「売れている」という状況にこそ訴求効果がある。

  • 第六章 個人への一極集中 タグとパーソナライゼーション

ユーザサイドから見ても、一極集中が起こっている。
雑多な情報を排除し自分の関心のある情報だけを素早く効率的に収集する。=パーソナライゼーション。
パーソナライゼーションの3つの技術=クッキー、ID認証、ユーザデータベース。+タグ。
エージェント化。
セマンティックウェブ

  • 第七章 「民主主義」によってつくられる”主体性ある思考”

「みんなの意見」が正しくなる条件=意見の多様性、独立性、分散性、集約性が適切にそろうこと。
集団内においては、意見が偏る傾向がある=集団分極化
生活や仕事のアーキテクチャーは人を変える。
発言量の多さに意見が引きずられる
「沈黙のらせん」=自分の意見が優勢と認知した人は声高になり、劣勢と認知した人は孤立をおそれて沈黙する。その結果優勢意見はますます勢力を増し、劣勢意見はますます少数意見となる。
虚偽情報が事実を駆逐する可能性。
多様な情報を全て読み込むのは不可能。
スケールフリー・ネットワークによって一極集中が進む社会の中でいかに多様性や異質性をくみ上げていくか。