長谷川慶太郎の大局を読む2010

最近、この人の本をよく読む。内容が結構当たっていることが多いので経済の先行きを見るのにとても参考になる。


2010年 長谷川慶太郎の大局を読む

2010年 長谷川慶太郎の大局を読む

長谷川慶太郎の大局を読む 2010年


「第一章  これから民主不況は起こるのか?」
小泉改革が目指したもの= 官僚改革、規制改革、税制改革
世界経済全体の基調はデフレ。モノの値段も賃金も下がるデフレ時代には小さな政府が向いている。郵政民営化→約24万人の公務員が民間人に。
閣議官房長官事務次官会議を通った案件の書類を回して各大臣が黙々と花押を書いていく。
閣議後、閣僚懇談会=案件の議論、質疑等を行っていく。
小泉純一郎は一回も閣僚懇談会に出てない。閣議後すぐ席を立って出ていく。
事務次官会議=各省庁から出てきた案件を調整し、閣議に送る案件を決める。ただし法的根拠なし。定例閣議の前日、毎週月曜と木曜日に開かれる。官房長官が主宰し、各省庁の事務次官、事務担当の内閣官房副長官、内閣法制次長、警察庁長官金融庁長官が出席。一人でも反対したら案件ストップ。満場一致の案件のみ閣議に送られる。
小泉首相時代に事務次官会議に小泉首相が出てきて、事務次官の人事はすべて官邸で決定すると通達した。
最低賃金を上げたり製造業派遣を禁止したりすると企業が海外に出て行って国内の雇用がなくなる。高速道路の無料化されれば飛行機、フェリー、新幹線、バスなどの交通機関のケイケイが成り立たなくなる。
予算編成は通常八月末に概算要求が提出されてから一二月半ばまで三ヵ月半かかる。
ジョン・ルース駐日大使をサポートする特別補佐官スーザン・バサラは、国防総省の日本部長だった人。

「第二章   100年デフレ時代の世界経済の行方」
今回の不況の特徴の一つが、どの国も保護政策をとらなかったこと。1930年代との違い。
当時は各国が次々に保護政策を打ち出したため貿易がピーク時に比べ最大4分の1に減った。
当時は武力に頼らないと生き残れないと考えたため、戦争準備の一環として保護主義をとった。
米国では公的資金の援助を得ると1000ドル以上の支出はすべて政府の管理官の承認を得ないといけなくなる。
EUは人口の少ない中小国の集団であるため経済危機に対応する手段が制限される。
ドイツは輸出依存度が非常に高いが輸出が急減している。製造業の失業率が増加。
不況によって最初に起こるのは雇用と設備、製品在庫の過剰。フランスの場合、リストラに対する労働組合の反発がすさまじい。
GDP比率では米国、日本、中国を合わせると39%、EUは30%。
戦争があるときはインフレ、平和なときはデフレ。世界的デフレは100年続く。金融政策とインフレは関係ない。
デフレ経済は産業の技術革新を生み出す。
GMなど、ブランドにこだわり研究開発を怠った企業は消滅する。
企業が生き残るために大企業時代が復活する。
トヨタは2008年3月期4369億円の赤字を出したが、9040億円の研究開発投資も同時に行った。
巨額の研究開発費がかかる時代になるとベンチャー企業の時代は終わる。
デフレによって商品価格が下がり賃金も下がる。賃金が上がらないならセーフティネットを充実させなくてはならない。
韓国は公務員以外は老齢年金の仕組みがない。米国では国民皆保険制度に取り組んでいるところ。
米国の401kの企業年金をかけていた人は掛け金残高の50%も損した。
大恐慌後、世界は軍縮に向かわざるを得なくなった。
米国は6000発、ロシアは2800発の核弾頭を持っている。核を全廃すれば米国は年間6750億ドル超の国防予算の1/4が削減できる。

「第三章 、世界の環境問題、技術革新で日本は必ず勝つ」
2008年9月のリーマンショックで外需に依存しすぎた日本経済は大打撃を受けた。
日本で内需拡大が無理な理由は2つ。1つは政治の決断が遅い。2つ目は公共事業投資=道路か箱ものしかないから。
大都市の再開発をやる。渋滞道路整備、立体交差化など。
有望な蓄電池の一つ、NAS電池。日本ガイシが唯一のメーカー。現在は大型だが、小型化・軽量化の研究がされている。
ハイブリット車は電気自動車が出てくるまでのつなぎ。
日本が世界に誇る鉄鋼と電力の環境技術。
巨額の財政赤字でもハイパーインフレは起こらない。


「第四章、象徴を失った米国と工場から市場へ転換した中国」

米国の製造業は消えていく。金融と農業で食べていくしかなくなる。