赤い酒場 (ふしぎ文学館)

赤い酒場 (ふしぎ文学館)

ずいぶん久しぶりに半村良を読んだ。日本SF界黎明期の時代の作家で読んだのは、小松左京半村良筒井康隆平井和正といったジャンル?だった。短編集で、3部構成。第一部「能登怪異譚」箪笥、蛞蝓、縺れ糸、雀谷、蟹婆、仁助と甚八、夫婦喧嘩、夢たまご、終の岩屋。第二部「怪奇SF選」赤い酒場を訪れたまえ、フィックス、嘆き鳥。第三部「現代怪談集」衝動買い、黙って座れば、ボール箱、赤い斜線、林道、ちゃあちゃんの木、夢の底から来た男。特に題名となっている「赤い酒場を訪れたまえ」は「石の血脈」の番外編のようなもの。いくつか他の本で読んだ短編も混ざっているようだった。第一部は方言の一人語りの文体で進めていく物語中心。第二部は半村良が得意とする伝奇物。第三部はホラーっぽいもの。1では鳳凰<フェニックス>、2では愛天使「梅子」、今回の3では、卵姫<ジェニファー>。怪造学に憎しみをもつ仇祭遊。同時に伊依の幼馴染。1作ごとに力を上げていく日日日は読んでいてすごく今後の可能性を感じる。デビューしたての頃の「すごい」は高校生にしてはという但し書きつきだったが、最近は各シリーズとも内容がよくなっている。物語の構成は独特なものがあるが、人物描写、語りかたなどが最初の頃より格段に進化してるので、読んでいて無理矢理っぽい部分がなくなってきた。